障害年金の金額
1 障害年金の金額の決まり方
公的年金制度の給付は、国民年金に対応する基礎年金部分が1階で、厚生年金部分が2階の2階建てに例えられます。
障害年金の場合、初診日に厚生年金に加入していた場合には、2級以上に認定された場合、1階部分の障害基礎年金に2階部分の障害厚生年金が上乗せされて支払われるため、支給額が手厚くなります。
初診日に国民年金に加入していた場合には、支給されるのは障害基礎年金のみとなります。
また、障害基礎年金と障害厚生年金の金額は、認定される等級によって変わります。
障害基礎年金、障害厚生年金ともに、1級の年金額は2級の年金額の1.25倍に設定されています。
3級は障害厚生年金にしかないため、認定された場合には障害厚生年金のみが支給されます。
2 国民年金制度による障害基礎年金の金額について
障害基礎年金の金額は、2級に認定された場合、国民年金法33条に「障害基礎年金の額は、七十八万九百円に改定率を乗じて得た額(以下略)」とされていることから、毎年改定率により変動はあるものの、おおむね年80万円程度の支給がなされます。
1級の場合には、この2級の金額の1.25倍が支払われることになります。
3 厚生年金制度による障害厚生年金について
障害厚生年金の金額の計算式は非常に複雑であり、厚生年金保険法50条により、老齢厚生年金の金額について定めた同法43条に従って計算することとされています。
老齢厚生年金では「平均標準報酬額」という概念を用いて、厚生年金の被保険者期間中に受け取っていた給料額の水準に連動して、受給額が決まる仕組みが採られています。
そのため、一般の方が障害厚生年金の金額がいくらか計算することは、極めて困難です。
上記1のとおり、3級の障害厚生年金の場合、障害基礎年金部分の支給はありません。
この場合、平成標準報酬月額が低額で年金額が少なくなってしまうと、障害を抱える方の生活を支えるという本来の目的を十分に果たすことができなくなります。
そこで、厚生年金保険法50条3項では、3級の障害厚生年金について、少なくとも2級の障害基礎年金の年金額の3/4を保障する仕組みがとられています。
そのため、3級の障害厚生年金は少なくとも年60万円程度が支払われる計算となります。